私好みの新刊 202412

 

『光る石 北海道石』たくさんのふしぎ8月 田中陵二 文/写真 福音館書店  

  「光る石」は普通の太陽光では見ることはないが、ブラックライト(紫外線の

出るライト)を石に当てると石を造っている鉱物が美しく浮かび上がる。石マニア

ではブラックライトの当たり具合で石の細かな石の名前をつけて。その石の一つ

「北海道石」を著者が見つけた話がテーマになっている。

 最初に光る石の大きな写真があり、「石はなにからできているか」の説明に

入る。万物の分類の話がある。「これまでに見つかったはおよそ6000種」とあ

るが、この表現は誤解を生む。そもそも石にはいろんな鉱物が連続的に入ってい

るので正確には名前を決めきれない。石は無数にある。

次ページは「石は鉱物でできている」の話がある。いまだに新鉱物が見つかる

という。次からはいよいよ新鉱物の話。北海道に「カルパチア石」という有機物

がふくむ鉱石があるという。紫外線を当てるとさまざまに光り出す。もともと紫

外線を当てるといろんな鉱物も光り出す。紙類をはじめ昆虫類、野菜類、方解石

など・・。そのページが写真で紹介されている。ここでちょっとややこしいが有

機物が光る説明が入る。

「コロネン」と呼ばれる7個の6角炭素(炭素24)に水素14がくっついた炭素環。

次に「ベンゾペルレン」という石を研究室で分析している説明文が入る。ベンゾペ

ルレンは6個の6角炭素で水素が2個足りない分子構造だった。C22H12これは新

種なのだ。著者はこの石を見つけたいので北海道愛別町へ、クマに警戒しながらの

採集の様子がかかれている。ついにブラックライトに光るオパールやカルパチア石

発見、新種発見となりました。         202481 日  810

 

『恐竜のあたまの中を のぞいたら』大島英太郎/作 河辺総一郎/監修 福音館書店

 恐竜研究は今や新しい段階になってきた。今までは出てきた化石を外から眺め、

顕微鏡などでくわしく観察していた。恐竜に羽毛があるとか、鳥は恐竜が進化した生

き物だなどもわかってきた。それが今やデジタルの時代になった。おかげで、CTスキ

ャンなどで頭骨化石の内部構造まで見られるようになった。内部はなかなか

複雑なのだが、3Dプリンターなどを使いよりリアルに見ることもできるようになった。

副題に「脳科学でさぐる恐竜の感覚」とつけられている。

 この本は恐竜化石の今の脳科学研究のようすを描いた絵本である。中学生ぐらいの

ボクが恐竜研究者のおじさんを尋ねていろいろ質問していく。最初のページは、ぼく

がおじさんととある博物館を訪れている絵。大きな4恐竜化石が並んでいる。次は、

頭骨化石がアップされた絵が出る。頭骨化石もよく見ると穴だらけ。目や鼻のあった

位置も大きく開いている。次は前から見た絵。いろいろおじさんの説明がはいる。目

の位置で、草食恐竜の化石か肉食恐竜の化石か見分けられる。こんどは、ティラノサ

ウルスのあごの絵。鋭い歯がずらりと並んでいる。よく見ると歯並びのしたに小さな

穴がずらり・・。おじさんの説明がある。どうやら神経や血管が通っていたみたい。

今度は頭骨を後ろから見る絵。脳が収まっていた脳かんが見える。ここを研究者は

「エンドキャスト」と言っているみたい。脳が入っていた空間がある。ここで、脳か

んをCTスキャナーに通している絵が出る。病院でよくお世話になるあのCTスキャナ

ーである。脳かんの内部の様子がいろいろわかる。次に脳の核部分の説明図が出る。

これは原生生物とも共通する。次にティラノサウルスやいろんな恐竜のエンドキャス

トの模型が出ていろいろと説明がある。絵本はさらにすすんで、コリトサウルス内耳

の説明も出てきて終わっている。最後に監修者の河辺さんの解説もある。さらにくわ

しく知りたい人は同じ河辺さん著『デジタル時代の恐竜学』(インターナショナル新書)

もある。                    20247月 1,600